ジョルダンの旅ブログ

旅行ではなく旅が好き。 TOURISTではなくてTRAVELERです。 仕事をしながら時間を作っては 世界のあちこちを旅しています。 秘境・廃墟・絶景や、 その土地での人・文化・伝統との出会いを求めています。 これは旅をテーマにしたBLOGです。

海外で殺されかけた話

面白いばかりが旅ではない。

 

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時には僕の知識不足から殺されかけた経験もある。

 

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そんな、死と隣り合わせとなった体験を綴っていこう。

 

ヨーロッパのサッカーファンは独断で半分以上の人がクレイジーである。

それにかなり迷惑なクレージーである。

 

ブルガリアのソフィアに留学をし始めてすぐ、

イタリア人の友達がブルガリアリーグの試合を見に行こうと誘ってくれた。

 

観戦チケットも500円くらいだったと思う。

 

CSKソフィア VS レフスキソフィア

 

どちらも首都・ソフィアのチームである。

 

試合前。

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KICK OFF。

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2分後。

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戦争である。

 

トルコなどの近くの国ののサッカーチームのユニフォームを着てソフィアの街を歩けば

必ず友達に忠告されていた。

 

友「お前、殺されるぞ」

 

そんなわけはないと、思っていた。

試合ではちょっと熱が入ってはっちゃけるくらいだと思っていた。

人間みな根は良い人というのが僕の頭の中にはあった。

 

そんなこんなで、特に何もなく、留学生活は約一年後の最終日の前夜を迎える。

友達の忠告を何度も受けるも、守らなかった。

 

その日はレフスキソフィアのニット帽を身に着ていた。

僕自身、サッカーが好きなだけである一つのチームに執着して応援しているというわけではなかった。

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 このニット帽にはサッカー以外の思い入れがかなりある。

1年の留学が終わる間際になると多くの友人がパーティーを開いてくれたり

プレゼントを用意してくれたりしていた。

 

この帽子もそのプレゼントの一つで、サッカー好きな私のために

わざわざ購入してくれた代物である。

 

日本帰国前夜。

 

その日もブルガリア人の友人が最後レストランで集まって食事をしようと誘ってくれた。

皆仕事やなんやかんやで忙しいのにもかかわらず集まってくれるというのでワクワクしていた。

 

学生が多く暮らすスツデンスキグラッドというエリアのレストランだった。

僕が暮らしていた寮もそのエリアにあったためバスを使って15分の距離だ。

 

集合時間に合わせて寮を出てバスに乗る。

 

その日はあのニット帽を身に着けていた。

 

レストラン近くでバスを降りる。

 

 

がばッ

 

 

僕「??????????????????????????

 

いきなり後ろからニット帽をはぎ取られた。

 

 

 

そいつは、バスの中で後ろからずっと僕のことを睨んでいた25歳くらいの若者だった。

最悪なことに右手にはビール瓶を持っており、目は血走っていた。

 

※日本人自体ブルガリアには少ないため物珍しそうに

見てくる人たちは普段からたくさんいた。

その男もそういう人たちの一人だと思って気にしなかった。

 

 

男「おれがコイツを捨ててやる

 

 

右手にビール瓶、左手にニット帽を持ったその男は僕に言ってきた。

 

最初は新手のブルガリアジョークかと思った。

 

僕「返してくれ。これから約束があるんだ

 

男「無理。

 

僕「?????????????????」

 

男「お前このチームが好きなのか?

 

僕「僕はサッカーが好きなだけだ。このチームに深い思い入れなんてない。

 

返答によっては大変なことになるだろうなと思いながら、

言葉を選びながら話した。

 

男「じゃあ捨ててやる(即答)

 

僕「それは僕の大切な人からもらったプレゼントなんだ。はよ返せや。

 

言葉もだんだん汚くなっていく。

 

男「俺はこのチームが大っっっっ嫌いなんだ。

  プレゼント?こんなのたった500円で買えるだろ。

  捨ててやるよ。

 

もう何を言っても通じなかった。

彼は僕が身に着けていたレフスキソフィアのライバルチームであるCSKソフィアの熱狂的なファンであった。

沢に悪いことに酒+何かマリファナでもやっていたのだろう目が血走っていた。

 

そこで素直に帽子を渡して引き下がれば

そのキチ〇イ野郎とは何もなかったが

せっかくのプレゼントだったし

日本人だから舐められている気がして食い下がった。

 

何を言っても無駄だと思った。

 

 

がばッ

 

 

今度は僕が男が左手に握っていた帽子を思い切り引っこ抜いた。

 

 

 

・・・・・走った。

 

 

ビール瓶持って男は走ってくる。

 

僕はうまく走れない。

その時、初めて普段クツひもを結んでいなかったことを後悔した。

 

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追いつかれる。

 

男「コラ

 

自慢の筋肉でがっしり僕の腕を掴んでいた。

 

友達との約束の時間は15分は過ぎており、

そのうちの一人から電話があった。

 

友「今どこ?

 

僕「今ちょっともめてる。すぐ行くから待ってて!!」

 

心配をかけたくなかった。

助けてと言ったら、その日の集まりはまずなくなるだろう。

だから、待っててとしか言わなかった。

 

男「帽子わたせ」

 

僕「やだ」

 

男「わたせ」

 

僕「無理」

 

こんなやり取りが10分は続いた。

 

周りの通行人は誰も助けてくれない。

なんせ喧嘩なんて日常茶飯事のエリアだったし、

厄介ごとに巻き込まれたくないのか

僕がブルガリア語の通訳を求めて英語を話せる人はいないかと手あたり次第

声をかけていたけど、無視、無視、無視。

 

なんと冷たい国だと思った。

 

その時、アホメッドという年末年始に一緒にイタリアを旅するくらい

仲の良かったチュニジア人の親友が通りかかる。

 

ア「やあ翔太。」

 

直会いたくなかった。

もめてる姿なんて見せたくなかった。

 

ア「友達かい?」

 

僕「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!」

アホメットにこれまでの経緯を話した。

 

だがこのままではアホメッドまで巻き込んでしまうと思い

また走った

 

体力には自信があった。

 

その男は酒も飲んでいたしあんまり追いかけてはこないだろうと思っていたが、

体力は結構あった。

 

少し路地をそれると真っ暗な場所にでる。

そこで捕まってしまえばマジで何されるかわからんと思い

大通りを逃げた。

 

すぐ捕まる(笑)

 

逃げながらいろんなことを考えた。

保険に入っているからケガしても大丈夫かな。

でも喧嘩って補償対象外だったような。

もしケガして飛行機乗れないと振り替えた飛行機の代金とかどーなんの。

じゃあやっぱりケガしないほうがいいな。

よし、暗い所に逃げるのはやめよう。

 

「分かった。渡さないのなら仲間を呼ぶ。

 今は俺だから何もしないままでいるが、

 俺の仲間は俺みたいに優しくはない

 ぞ。」

 

 

 

呼べよ

 

何の映画を見せられているのだと思った。

こういうシーンはいろんな映画でたくさん見てきた気がする。

 

おもむろにケータイを取り出し電話しだした。

ブルガリア語だから何を話しているかわからなかったが・・・

 

その瞬間にこっそり靴のひもを結んだ。

 

次が最後のRUNになると心に決めた。

 

5分くらい経ち、男はケータイを確認し、

歩道から道路に顔を出し仲間に自分の位置を知らせるような素振りをした。

実際に仲間が来たかどうかは確認していないが

これはチャンスと思い目を離したすきに思い切り逃げた。

 

今度は靴ひももきちんと結ばれていたため一気に突き放した。

 

大通りだとどこまで逃げても同じなので、

今度はあえて人のいない真っ暗い路地裏に逃げ、

連立するアパートとアパートの間に隠れた。

 

途中まで男が追いかけてくるところが見えたが

なりふり構わず逃げていたため

どこまで追いかけてきていたか分からない。

 

ここで捕まったら絶対に殺されると思いながら

5分間潜んでいた。

 

そしてさすがにもうあきらめたかなと思って

一気に待ち合わせのレストランまでダッシュした。

 

皆心配してくれていた。

 

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最後はブルガリア料理をみんなで楽しんだ。

 

僕電話を確認するとアホメッドから何回も

心配して着信が入っていた。

メッセージには、

大丈夫か。今どこだ。心配だから警察を

 呼んだよ。

 

と書かれてあった。

 

すぐ、お礼の電話をした。

 

ありがとうアホメッド。。。

 

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アホメッドとは次の日、

フライト時間ぎりぎりまでチャイを楽しんだ。

 

フゴのボールはアホメッドに引き継いだ。

※前回ブログ参照

tabizukijordan.hatenablog.com

 

FACEBOOKにこの出来事を投稿すると

たくさんのブルガリア人の友達が声をかけてくれた。

 

実はブルガリア人のサッカーに対するクレイジーさはヨーロッパでは有名で

クレイジーなサッカーファンが人の命を殺めてしまった事件は映画にもなっている。

 

今回何もなくてほんとに良かったが

今回一番伝えたいことは

 

 

靴ひもはちゃんと結ぼう

 

 

である。